アフリカあちこちの生理事情~それって大変じゃない?!~

2021年8月執筆

アフリカンコラムテーマ初登場、アフリカあちこちの生理事情です!

 今でもこの話題に対する印象は女性の中でも様々ですが、考えてみれば人たるもの誰もが無関係ではない大切な話かと思ったので、現状・日本からの支援・現地での将来性などについて執筆させていただきます。(執筆:まひろ)

 

 コロナ禍においての貧困問題から日本でも聞く機会の増えた、「生理の貧困」。例えば節約のために不衛生を強いられたり、学業やアルバイトなどに支障がでたりする学生が、程度の差こそあれ日本で5人に1人(NHK、*1)という調査もあります。アフリカ各地ではどうでしょうか?

 比較的新しい、WHOの2021.7.1.の報告書によると、「生理中に適切な生理用品を使用できず、感染症など健康問題のリスクにさらされている女性の割合は、エチオピア...(中略)では約5人中1人、ニジェールとブルキナファソでは約7人中1人に上った」ことや「安全な場所がないなどの理由で月経中の女性が外出できない...過去1年の間に月経を理由に学校を休んだことがあるという女性はブルキナファソで15%、コートジボワールで20%、ナイジェリアで23%に上っている」といった問題があるようです(CNN、*2)。「適切な生理用品」とあるのは、不衛生な木葉や古い布、毛布の端切れを使用している例や、そのための匂い・服の汚れを気にして学校に通えない女の子がほとんどということを踏まえているのでしょう。

 食費のために生理用品を諦めざるを得ない例を挙げると、ウガンダでは生理1回(ひと月)分の使い捨てナプキン1万2000~1万5000ウガンダシリング(約600~750円)に対し、2009年の平均世帯月収が30万3700ウガンダシリング(約1万1000円)だといいます。ケニアでもナプキン1パック75シリング(約100円) に対し、未熟練労働者の平均日当は約150円(HUFFPOST、*3、*4)。

 日本で最もシェアを占める生理用品はナプキンだけですが、足りないものはナプキンにとどまりません。下着も買うお金がない女性もいますし、さらには、トイレットペーパーを古新聞で代用する例や、衛生上重要な清潔な洗い場・石鹸などの用品も不足しているようです(支援プロジェクト各団体の活動紹介より、ケニア・ブルンジなど。*5、*6)。「身体の悩みは我慢すべきでない。オープンに話してよい」という認識の不足はまだ日本にもあるように思いますが、「そもそも清潔が感染症予防に重要だ」という点からスタートする地域もあるようです。(生理用品の減税がケニア、ナイジェリアでは日本より早く取り入れられている点も特筆すべきかもしれませんが、またの機会に。)

 また、統計ではなく個別事例ですが、紛争地帯での状況はさらに危険かもしれません。

 参考までに、国民1人あたりのGNIを外務省のHPを基にした色分けです(ほぼ2019年の世銀のデータが基のようです。西サハラは日本は国として扱っていませんね…)。コンゴ民主共和国、南スーダンが最貧ラインであるのを見ると、紛争地帯の貧困は大きな問題に思います。

 民間企業などからの支援先で目を引くものは、実は1人あたりGNIの水準は真ん中の国が多いかもしれません。

 ・大王製紙(エリエールの会社)→ケニア、ザンビア(2021~)(ハートサポートプロジェクト)

 ・国際NGOプラン・インターナショナルなど→ウガンダ

 ・NPO法人HANDS→ケニア(再使用できる布製ナプキン・現地製造)

 ・NPO法人femme international→おおまかに東アフリカ(再使用できる月経カップ)

 ・NPO法人Good Neighbors Japan→ケニア(募金を基にナプキン提供、2017年)

 ・花王(株)→ウガンダ(国連人口基金UNFPAと連携し現地起業家を支援)

 ・JICA→駐在員のいる各地(ケニア、ルワンダなど)

 ・非営利健康促進協会SaCoDé→(ブルンジ、国内の団体。下着無しの着用可という)

…など。加えて、性や衛生の知識普及・医療体制の整備ももちろん間接的に生理の貧困の支援につながりますし、UNICEF、NGO団体JOICEPなど、様々な支援が挙げられます。生理用品支援の中でも、使い捨て用品を送るだけでなく、現地の雇用創出・再利用できる・干しやすい・長持ち…といった種類豊富な点、興味深いですね。

 支援団体の立ち入りも多くない紛争地帯でこそ、他の危険が目立ってしまっているだけで、同様に毎月生理で困難な思いをする人たちがいるという視点も忘れずにいたいです。生理用品を始め生活用品を得るお金のために性暴力を甘んじて受け入れる事態も発生しています(*15)。

 最後に、私が見ていて最も明るくなったフェムテック製品の話をご紹介、ウガンダです!アフリカ内での生産も増えてきている、という観点を先述しましたが、隠れた(?)スタートアップ大国・ウガンダで起業され、今はアフリカや大陸外にも、37カ国に進出している、布製ナプキン(とその持ち運び道具や下着も)のメーカー、AFRIpads。そもそも近年、環境問題や化学薬品の問題も解決すべく、月経カップなど様々な解決法が先進諸国でも議論されていますが、布製のメリット・デメリットについて考えても面白いと思います。アフリカからアフリカへの支援の例に興味がある方も、ぜひ!→https://www.afripads.com/blog/

 

 私もあなたもこの世に生を受けられたのは、何のおかげでしょう。偶然生理がくる人も、こない身体に生まれた人も、誰もが当事者であるというと大袈裟かもしれません。が、他者の身体への思いやりというのが国も関係なくこの問題の根本にあることかと、調べながら考えました。生まれた先が偶然アフリカだったら?女性だったら?思いやってみたいものですね。

(参考文献)

*1 NHK https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4529/index.html

*2 CNN https://www.cnn.co.jp/world/35173323.html

*3 HUFFPOST「『生理で学校に行けない』ウガンダの少女たちを救った布ナプキンのはなし」 https://www.huffingtonpost.jp/2015/12/17/plan-japan_02_n_8779084.html

*4 HUFFPOST 「『月経カップ』が東アフリカで生きる女性たちの人生を変える」https://www.huffingtonpost.jp/sabrina-rubli/menstrual-cups-east-africa_b_6454004.html

*5 ランドリーボックス 「『生理用品が買えず学校に行けない」200万枚のナプキンをアフリカの女学生に届けてわかったこと』https://laundrybox.jp/magazine/heartsupport/

*6 HEAPS 「『下着がなくてもつけられる生理用品が欲しい』自分たちの国の生理と貧困問題に、ゆるやかだが堅実に“現地の手”で継続的に取り組むこと」https://heapsmag.com/burundi-menstrual-pad-selfmade

*7 Yahoo news (2021.4.14) 「最近話題の 『生理の貧困』。生理用品に関する日本や海外の取り組み」https://news.yahoo.co.jp/articles/bcfcf4138f4bc3d42fe80cbf9fb7d064c95fb2e7?page=1

*8 ランドリーボックス「『生理用品が買えず学校に行けない』200万枚のナプキンをアフリカの女学生に届けてわかったこと」 https://laundrybox.jp/magazine/heartsupport/

*9 PLAN INTERNATIONAL  https://www.plan-international.jp/blog/5710/

*10 Good Morning 「ケニア農村部で布ナプキンを普及させ少女たちを笑顔に!NikoNikoプロジェクト」https://camp-fire.jp/projects/view/356851

*11 OTEKOMACHI「アフリカで『手作り生理ナプキン』」 https://otekomachi.yomiuri.co.jp/project/20200120-OKT8T196444/

*12 Yahoo Japan ネット募金 「【ケニア】毎月の女の子の『できない・行けない』をなくしたい!」 https://donation.yahoo.co.jp/detail/1578015/

*13 note「開発途上国での生理事情 」https://note.com/imoimo_haruka/n/na3addd945bd9#ML4Qb

*14 JOICFP https://www.joicfp.or.jp/jpn/

*15アイ・シー・ネット株式会社「紛争影響国のジェンダー主流化に係る課題と教訓報告書」ssud_drc_2017.pdf (jica.go.jp)(P.6)

*16 INTERNATIONAL RESCUE COMITTEE ”Experiences of Refugee Women and Girls from the Democratic Republic of Congo (DRC)”

*17 AFRIpads https://www.afripads.com/

*18 椎野若菜 「東アフリカにおける月経観と月経にかんする教育事情 ケニアとウガンダの事例から」https://store-confit.atlas.jp/jasca/jasca53rd/static/20190505170714164_ja.pdf

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